裁判の経緯

現在、東京高裁にてチチハル事件控訴審が結審し,判決を待っています。そして東京地裁にて敦化事件一審の敗訴判決が出ました。敦化事件は控訴の予定です。

 第1次訴訟(1996年12月9日提訴)は一審で全面勝訴したものの控訴審で敗訴し、第2次訴訟(1997年10月16日提訴)は一審二審ともに敗訴しました。いずれも最高裁へ上告しましたが、残念ながら2009年5月27日に上告棄却との決定がなされ、敗訴が確定しました。

遺棄毒ガス・砲弾訴訟について(1次訴訟・2次訴訟→09年5月27日確定)

日本軍毒ガス・砲弾遺棄被害賠償請求事件について

第1 訴訟について
Ⅰ 第1次訴訟
 1996年12月9日提訴、請求金額は、被害者一人につき2000万円
① 松花江紅旗09号毒ガス事件(1974・10・20発生)
 黒竜江省佳木斯市において浚渫作業中の船が毒ガス弾を巻き上げてしまい作業員らが被害を受けた。
原告 孫(被害者肖慶武の妻、遺族)
   李 臣
   劉 振起
 

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敦化(トンカ)遺棄毒ガス被害訴訟

1 敦化事件とは

敦化事件は,2006年7月23日,中国吉林省敦化の郊外の村を流れる小川で遊んでいた少年2人が旧日本軍が遺棄した毒ガス弾を拾い上げ漏れた毒ガス液に被毒した事件です。

2 裁判の経過

2008年1月17日 東京地方裁判所に提訴

2008年6月22日 第1回口頭弁論

2008年8月25日 第2回口頭弁論

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遺棄毒ガス2次訴訟高裁判決の意義と問題点

 遺棄毒ガス2次訴訟高裁判決の意義と問題点
  ―最高裁への上告受理申立書のポイント―
                      弁護士 大江京子
1 はじめに
  2007年3月13日,東京高等裁判所第24民事部(大喜多啓光裁判長)は,控訴人らの主張する結果回避措置は,いずれも毒ガス兵器による本件事件の発生を回避するための有効な方法であったとすることはできない(結果回避可能性がない)として,控訴人らの請求を棄却する判決を下しました。
 

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遺棄毒ガス第1次訴訟の北京記者会見ドキュメント 

遺棄毒ガス第1次訴訟の北京記者会見ドキュメント 
        弁護士 犀川 治
 07年7月18日の遺棄毒ガス第1次訴訟の控訴審判決当日,私は,二人の原告とともに,判決についての記者会見をするため,北京にいました。判決の時間に合わせ,記者会見場である中華全国律師(弁護士)協会本部に待機していたところ,東京の弁護団から「敗訴」の第一報がありました。その後「日本軍の遺棄は認めた」、「因果関係で切られている」、「最後に付言がついている」など,判決を読み進める弁護団から次々と電話で情報が伝えられるとともに,判決や声明文などがFAXされてきました。
 

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毒ガス1次高裁判決の誤り

毒ガス1次高裁判決の誤り
―上告受理申立書のポイント―
                   弁護士 山田勝彦
1,はじめにー高裁判決の意義と誤り
 2007年7月18日、東京高等裁判所第5民事部(小林克巳裁判長)は,遺棄毒ガス・砲弾の被害による損害賠償請求事件(1次訴訟)について,一審判決において全面勝訴をした被控訴人(一審原告)らの請求を翻し、同人らの請求を棄却する不当な判決を下しました。
最も、次のとおり、事実認定をしたこと及び救済措置が必要であるとの付言を付したこと等の意義を有する判決でした。
 

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チチハル遺棄毒ガス事件の概要

2003年8月4日、被害はドラム缶から起こった

2003年8月4日、中国黒龍江省チチハル市内において、団地の地下駐車場建設現場から5つのドラム缶が掘り出され、中から漏れた液体が周辺の土を真っ黒に染めていました。掘り出された時点では、これが何の液体なのかわかるはずもありません。ドラム缶の撤去作業や、真っ黒な土の上で作業は続けられました。その場所で、15人がドラム缶や土から液体を浴びてしまいました。

  さらに、工事現場の従業員が、くず鉄の再利用をする目的で、このドラム缶を近くの廃品回収所に持ち込んだ結果、ドラム缶を解体する作業に参加した10人が液体を浴びてしまいました。
  ドラム缶は、無害化処理のために化学工場へ運ばれましたが、この化学工場でも、1人がドラム缶に近づき、被害にあいました。
 

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チチハル遺棄毒ガス事件 訴訟経過

2008年8月時点までの訴訟経過です。
次回は9月22日(月)午後4時~東京地裁103号法廷です。

【2008年】

 6月23日 第5回 意見陳述 徐志夫
 ・ 原告の主張  遺棄事実論
  本件毒ガス缶が発見された現場は、旧日本軍のチチハル飛行場
  ないしその関連施設の跡地であった。
  チチハル飛行場は、旧日本軍の毒ガス作戦の根拠地として使用
  されており、それゆえ、同所に毒ガス缶が埋設されていたのは
  必然であった。
  日本政府は、同現場に毒ガス缶が埋設されていることを容易に
  知り得たはずであった。
  本件事故は未然に防ぐことが可能だった。

  3月10日 第4回  意見陳述 牛海英
 • 原告の主張  責任論 (日本政府が毒ガスについての戦後の
  対応について。日本政府が法的な責任を負わねばならない理由)
 • 遺棄した毒ガスの所在等を記録化し引き継ぎをすべき義務
 • 毒ガス発見回収の具体的措置をとるべき義務


【2007年】

 12月3日 第3回  意見陳述 王春林
 • 原告の主張  事実論②
 • 日本政府は、戦後、国内に遺棄された毒ガスについては、
  様々な調査をしてその発見回収をしてきた。
 • しかし中国に遺棄した毒ガスについては発見のための手だてをとらなかった。 1月25日 提 訴

 9月3日 第2回   意見陳述 崔金山
 • 原告の主張  事実論①
 • 日本は毒ガスを製造して、中国に配備し、敗戦時に組織的に遺棄した。
 • チチハルは毒ガス配備の中心だった。

 
 6月6日 第1回   意見陳述 陳栄喜、王磊
 • 訴状内容の陳述


 1月25日 提 訴
                  訴状はこちら

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チチハル遺棄毒ガス被害訴訟 訴状

◇ 2007年1月25日提訴 訴訟の内容(訴状の概要)

1 事件名、当事者等の概要は以下のとおりです。
① 事件名 国家賠償請求訴訟
② 係属裁判所 東京地方裁判所(民事13部)
③ 当事者 原告 本件生存被害者43名及び死亡被害者の遺族5名の合計48名
被告 国

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敦化事件,8月25日にご参加くださった方の声

今回裁判傍聴,交流会そして報告集会にご参加くださった方の声を掲載します。

1 Kさん
2 Aさん
3 Tさん

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敦化事件,チチハル事件3月16日弁論報告

3月16日,敦化事件,チチハル事件両方の弁論がありました。

午前中にチチハル事件の弁論がありました。チチハル事件では,1 国は,外国人の国家賠償請求が認められるためには,日本人がその国で被害を受けたときにも国家賠償請求が認めてもらえるという相互保証がないといけない,中国にはそれがない,つまり日本人が中国政府から被害を受けたときに国家賠償請求ができるという規定がないから,中国人の日本政府に対する国家賠償請求もできないという主張をしています。これに対して,弁護団から,中国でも,普通の人に適用される民法を国にも適用する範囲を広げるなどして国に対して損害賠償ができるように工夫されている(これは戦前の日本でも行われていた解釈です)

午後からは敦化事件の弁論がありました。こちらは,1 戦前は,国家賠償請求というものがそもそも認められていなかった,何人たりともお上に賠償を求めるなんてことはできなかったのだから,毒ガスを遺棄したこと自体に対する責任は認められない(これを国家無答責と言います)という国の主張に対して,国家権力の発動といえる処分(許認可とか)はそうかも知れないが,毒ガスの遺棄は,単に捨てただけであり,私人がする行為と変わらない行為だから,国家無答責なんて認められないという主張と、2 日中平和友好条約で、戦争中荷個人が受けた被害について損害賠償請求権を放棄したというのはおかしいという主張をしました。

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遺棄毒ガス被害事件第1次,第2次訴訟敗訴

残念ながら,5月27日,遺棄毒ガス・砲弾被害事件第1次,第2次訴訟について,最高裁判所から上告を棄却するとの決定がされました。

最高裁が,被害者の訴えを一顧だにせず冷たく門前払いとしたことが残念でなりません。

弁護団声明を掲載いたします。

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不当判決!チチハル遺棄化学兵器被害訴訟事件

弁護団声明
                                                          2010年 5月24日
                                              チチハル遺棄化学兵器被害訴訟弁護団

1 本日、東京地方裁判所民事第13部(山田俊雄裁判長・上拂大作裁判官・川崎博司裁判官)は、チチハル遺棄化学兵器被害訴訟事件につき、原告らの国に対する賠償請求を棄却する判決を言い渡した。満腔の怒りをもって抗議するとともに、司法としての役割を放棄した裁判所のあり方に落胆を禁じ得ない。
2 本件は、2003年8月4日、中国黒竜江省チチハル市のマンション工事現場から掘り起こされた5本の容器入り毒ガス剤(イペリットとルイサイトの混合剤)によって引き起こされた事故の責任を問うものである。
  その被害は、旧日本軍が遺棄した化学兵器による事故としても、未曾有のものであった。被害者の数は、子どもを含む44名にのぼる。毒ガス剤をほぼ全身に浴びた1名は18日間に及ぶ想像を絶する苦痛の末に命を落とし、命をつなぎとめた43名も、いまだ、呼吸器症状や目の症状、免疫機能の低下や神経障害などの重篤な後遺症に苦しんでいる。就労能力を失った原告たちの多くは、家族関係も破綻し、社会からの差別にもさらされ、子どもたちは将来の夢を失った。
  失われた命・健康はもう元に戻せない、でもせめて、安心して医療を受け、生活できるようにしてほしい。そんな思いから、被害者たちは政府に要請を続けた。ところが、時の政府がこれを拒み続けたため、被害者たちが最後の手段として選択したのが、本件国家賠償請求訴訟の提起であった。
3 本判決は、本件被害の原因となった毒ガス剤入り容器が、旧日本軍によって埋設・隠匿され、遺棄されたものであることを明確に認定し、これがソ連軍等により遺棄されたものであるなどとした被告国の主張を排斥している。また、本件毒ガスが発見された現場付近は、戦中、チチハル飛行場の近くにあり、関東軍化学部(516部隊)の弾薬庫であったことを明確に認め、さらに、原告らが受けた被害が甚大であり、いまなお重篤な後遺症に苦しんでいる事実も明確に認定している。
  しかしながら本判決は、旧日本軍によって遺棄・隠匿された化学兵器は大量かつ広範囲に及ぶところ、本件現場付近の探索を他の地域に優先すべきであったと認めることは出来ないとして、被告国の作為義務を否定した。このような判断によって被害防止のための調査を全く行っていない被告国を免責することは、法の拠って立つ正義公平の理念に反するものであることは言うまでもない。
4 判決は、原告らの生命・身体という重要な法益に対する危険性があり、これが切迫した状態にあったことを認めた。その上で、被告の担当者において本件事故が発生した平成15年8月までには、チチハル市内における旧日本軍の駐屯地やその軍事関連施設付近に存在する毒ガス兵器が、付近住民と接触することにより、付近住民の生命・身体に危害を及ぼすことを予見することは可能であったとし、かつ、本件事故により原告らが受けた生命、身体への被害は甚大であり、その精神的苦痛、肉体的苦痛は極めて大きいものであったことは明らかであるとも認めている。本件判決のこれらの認定からしても、日本政府の政治的責任は明確と言わなければならない。政府は、この判決の認定を真摯に受け止め、全ての遺棄化学兵器被害者に対する医療支援・生活支援の政策を実現すべきである。私達は、今後法廷内外において、この政策形成を実現するために全力を尽くすことを表明するものである。

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2月13日(月)敦化事件本人尋問と結審のお知らせ

敦化裁判は,ついに次回2月13日(月)の期日で結審します。

2月13日の裁判期日は,午前11時00分~午後4時30分,東京地方裁判所 1階 103号法廷(大法廷)にて開かれます。 周君,劉君,劉君の父の尋問と,最終弁論を行う予定です。

ま た、報告集会を、法廷終了後 弁護士会館10階 1002室 にて開催いたします。この報告集会では,周君,劉君,劉君の父から,改めて,この裁判にかける思いを話してもらいます。

12月5日の期日においては、元外務省官僚の乳井忠晴氏と現役の外務省中国課課長の石川浩司氏からは,チチハル事件が発生するまで,日本政府は中国で遺棄化学兵器による被害が発生しないようにする対策を何ら行っていないことなどを聞き出しました。

次 回期日にていよいよ、敦化事件は結審します。周君,劉君,劉君の父が来日し,思いの丈を話しますので,長場ではありますが、ぜひ傍聴にお越しくださ い。

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チチハル控訴審が結審しました。判決に向けて上申書のご協力をお願いします。

 
2012年3月23日(金)午後1時30分より、チチハル事件控訴審裁判の結審に当たる法廷が開かれました。
 
中国から来日した牛海英さんの意見陳述と,弁護団の弁護士らからの熱のこもった最終弁論が行われました。これにて控訴審の法廷手続きはすべて終了して「結審」し、いよいよ判決言い渡しを残すのみとなりました。
 
牛さんは、「多くの善良な日本の市民が私たちの裁判を支援してくれていますが、その善良な日本人がこんなに重大な災害に見舞われているときに、日本政府を相手に裁判をしてもよいのだろうか、私は苦しんでいます。しかし、人の命は一度限りです。
日本人であっても、中国人であっても、その人間の尊厳を奪うことは許されません。自分のかけがえのない命や人生を、突然奪われるような危険にさらされて生きるべきではないのです。」「裁判官殿。私たちは哀れみや同情がほしいわけではないのです。歴史的な事実と、危険を放置して何もしなかったことが明らかならば、きちんと責任を負う。私たちはその当然のことを求めているだけです」と裁判官に対し堂々と最終陳述を行いました。
 
判決期日は,「追って指定」となっておりますので,わかり次第改めてお知らせ致します。
午後6時30分からの報告集会「チチハル裁判の勝利をめざして」には、午前中から傍聴していた方が大勢参加されました。牛さんからは,「私はどういう風に感謝したらいいかよくわからないけれども、被害者の代表として皆さんに感謝を申し上げたいです」と感謝の言葉をいただきました、
 
判決言い渡しは追って指定となりましたので,判決日がきまりましたらまたご連絡いたします。
 
判決に向けた上申書にご協力ください。
 
裁判所に、勇気を持って公正なる判決を出してもらうべく、上申書を集めることになりました。(敦化事件で署名を集めていること,また,皆様の生の声を裁判所に届けたいと言うことから,チチハル事件では上申書を集めることに決まりました。)
上の「チチハル上申書.pdf」から、署名用紙がダウンロードできます。まだ判決日はわかりませんが,ゴールデンウィーク明けを目途に,判決内容が確定する前に裁判所に提出いたします。集 約期間が短く、ご協力いただく皆様にもお負担をおかけすることと思いますが、皆様の声を一つでも多く裁判所に届けるため、皆さまのご協力をよろしくお願いいたしま す。

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敦化遺棄毒ガス被害事件判決,報告集会,院内集会

敦化遺棄毒ガス被害事件は,今まで東京地方裁判所で審理を重ねて参りましたが,ついに,

4月16日午前10時 東京地方裁判所705号法廷

にて,判決が言い渡されます。

今回は,周桐さんが来日します。

その後,

午後6時30分~8時30分 文京シビックセンタースカイホール

にて,報告集会を行いますので,皆様ご参加のほどをお願い申し上げます。

(恐れ入りますが資料代500円を頂きます)

 

また,翌日4月17日には,

午後0時~午後1時 参議院議員会館101会議室

にて,院内集会を行います。ご参加の方は通行証をお配りしますので,午前11時40分頃に参議院議員会館にお越し下さい。

遺棄毒ガス被害の回復の為の政策を求めるのは,これからが本番です!

皆様のご協力をお願い申し上げます。

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敦化遺棄毒ガス被害訴訟1審不当判決

皆様すでにご存じかと思いますが、きのう、2012年4月16日、敦化遺棄毒ガス被害事件について、東京地裁民事33部は請求棄却の判決を言い渡しました。

通訳に解説してもらいながら判決を聞いていた周桐くんは、敗訴判決と聞かされて、最初「うそでしょ」と信じられない様子でした。その後、余りのショックに目がうつろになっていましたが、午後6時30分からの報告集会では、少し元気を取り戻しました。

もちろん控訴を予定しており、引き続き戦っていきますので、よろしくお願い申し上げます。

下記に弁護団声明を貼り付けました。

弁護団声明

2012年4月16日

敦化遺棄化学兵器被害訴訟弁護団

 

1 本日、東京地方裁判所民事第33部(小林久起裁判長・中島崇裁判官・見原涼介裁判官)は、敦化遺棄化学兵器被害訴訟事件につき、原告らの国に対する賠償請求を棄却する判決を言い渡した。

 

2 本件は、2004年7月23日、中国吉林省敦化蓮花泡の小川に遺棄されていた毒ガス砲弾(イペリットとルイサイトの混合剤)によって引き起こされた事故の責任を問うものである。

判決は、旧日本軍が遺棄した毒ガス砲弾により原告らが被害を受けたことは事実であり、日本国政府が、遺棄化学兵器処理事業を推進しつつも被害を未然に防止できなかったことも事実であって、原告らの被害は、真に遺憾なことであると述べた。

  また、判決は、日本政府が、1991年に2名の被害者と面談し被害状況の説明を受けていたこと、そして、中国政府が翌1992年にも、日本政府に対して、本件現場には遺棄毒ガス砲弾が存在している可能性を指摘するとともに、日本政府の調査に対しては全面的に協力する用意があることを伝えてきたことも認定した。

しかしながら、本判決は、上記事実に言及しながら、責任を認めなかった。

我々弁護団は同じ司法に携わる者として深い失望を覚える。

 

3 中国大陸に遺棄された毒ガスによる被害については、本件以前に3つの裁判が起こされている。そのいずれの判決においても、旧日本軍が化学兵器を遺棄して住民らの生命身体に危険を生じさせたという先行行為に基づいて、日本国政府の違法性を問題とするとの法的枠組みを採用している。

しかし、本判決は、なんらの理由も示すことなくこのような法的枠組みすら採用せず、化学兵器禁止条約の義務の履行に伴う被害防止義務を取り上げ国の広い裁量を認め、日本国政府を免責した。

これは、独自の判断に基づく、極めて不当な判決である。

 

4 しかしながら、何ら落ち度無く、日本国政府による不当な行為によって、被害を被った被害者は救済されなければならない。日本国民は、先の侵略戦争における敗戦の中、二度と戦争を起こさないと誓い、人々が恐怖から解放される世界の構築を誓った。これは日本国民が、自ら犯した過ちの中から見いだした希望でもある。

本件を含む遺棄毒ガス兵器による被害者の救済は、日本国民が見いだした希望の一つの実現である。

我々弁護団は、被害者らとともに、裁判所、日本国政府が過ちを正面から認識し、希望ある未来に向けて舵を切るまで闘い続ける。

 

以上

 

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2012年9月21日チチハル事件控訴審判決!

いよいよチチハル毒ガス事件の控訴審判決が言い渡されます。

今回は,  

被害者 
丁樹文さん 
董粉宏さん

  と中国の弁護士が来日します。  皆様,是非,判決,報告集会,院内集会,街頭宣伝などの行動にご参加下さい!

【判決】
日時:2012年9月21日(金) 14:00 
場所:東京高等裁判所 1階 101号法廷

★入廷行進を董粉宏さん・丁樹文さんと行います。
13:30に裁判所前にお集まりください。

【裁判報告集会】
日時:9月21日(金) 18:30~ 
場所:文京区民センター 2A会議室
(都営地下鉄三田線・大江戸線「春日」駅A2出口) 

http://www.city.bunkyo.lg.jp/sosiki_busyo_kumin_shisetsu_kumincenter.html
資料代:500円


【宣伝活動】
このたび,遺棄毒ガス被害事件の,被害実態と解決を訴える街頭宣伝も行うことといたしました。
皆様ぜひお越し下さい。
日時:9月22日(土:秋分の日)13:00 
場所:新宿アルタ前付近
日時:9月24日(月)8:30 
場所:官邸前(東京メトロ国会議事堂前駅3番出口付近)

 

【院内集会】

また,24日には院内集会を行います。事前申込はなくてもかまいませんので,ぜひお越し下さい。

日時: 924日(月)午後3時~4
場所: 衆議院第一議員会館 1階 多目的ホール(200名収容)

 

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チチハル事件控訴審、不当判決!

チチハル控訴審判決.pdf

9月21日、チチハル事件控訴審の判決がありましたが、全くの不当判決でした。

弁護団声明を掲載しますので、皆様ご覧ください。

敗訴判決にめげずに粘り強く医療支援、生活支援を求めることが、本当の遺棄毒ガス被害者への支援になるものと信じております。皆様引き続きご支援お願い申し上げます。

声   明

 

1 本日、東京高等裁判所第2民事部(大橋寛明裁判長)は、中国チチハル遺棄化学兵器被害訴訟につき、控訴人ら(被害者とその遺族・合計50名)の請求を否定した一審・東京地裁判決を追認し、控訴棄却の判決を言い渡した。

 

2 本件は、200384日、中国黒竜江省チチハル市のマンション工事現場から掘り起こされた5本のドラム缶(後に、旧日本軍が遺棄した毒ガス兵器と判明)から漏れ出た毒ガス(イペリット・ルイサイト混合液)によって44名が死傷した事故について、十分な被害防止措置をとらなかった日本政府の責任を問うものである。

 

3 本日の判決は、一審判決と同様に、旧日本軍の毒ガス遺棄という違法な先行行為によって生命・身体という重要な法益に対する危険性が切迫した状態にあり、国の担当者はチチハル市内でかかる毒ガスが付近住民に危害を及ぼすことを予見することは可能であったと認めた。しかしながら、チチハル市内には多数の軍事関連施設が存在していたから、そのどこかに毒ガスが遺棄されていることが予見されるというだけでは、予見可能性として十分とはいえないとしたうえで、具体的な遺棄場所に関わる情報を日本政府が入手して中国政府に提供できなければ本件事故を回避する措置を執り得ず、旧日本軍の関係者から事情聴取をしたとしてもそのような情報を得ることはできなかったとして、国の責任を否定した。

しかし、このような判断によって被害防止のための調査を全く行っていない国を免責すれば、今なお中国の大地に眠る多くの遺棄毒ガスによって今後も生じるかもしれない被害についても悉く国を免責することになり、法の拠って立つべき正義・公平の理念に反するものであることは言うまでもない。このような論理によって現に今も苦しんでいる被害者を放置することになれば、法および司法への信頼は地に堕ちることになる。

われわれは直ちに上告して、最高裁の判断を求める所存である。

 

4 被害は甚大である。毒ガスをほぼ全身に浴びた1名(李貴珍)は18日間に及ぶ苦闘の末に全身化学熱傷で命を落とした。命をつなぎとめた43名も、いまだ、呼吸器、眼、皮膚などの症状、免疫機能の低下、神経障害などの重篤な後遺症に苦しんでいる。ほとんどの被害者は働くことができなくなっており、家族関係の破綻、伝染するとの風評による差別などもあり、子どもたちは将来の夢を失った。

  失われた命・健康はもう元に戻せない、でもせめて、安心して医療を受け、生活できるようにしてほしい。その思いから、被害者たちは日本政府に生活・医療保障を求め続けてきた。本件訴訟は、そのような被害者支援政策の実現のための契機とするために提起された。

 

5 本日の判決は、一審判決同様、事故発生の予見可能性を認めたうえ、本件事故により控訴人らが受けた生命、身体への被害は甚大であり、その精神的苦痛、肉体的苦痛は極めて大きいものであったことは明らかであることも認めている。2つの判決が揃って認定したこれらの被害を直視すれば、日本政府の責任は明確と言わなければならない。

  控訴審に入ってからもすでに被害者2人が亡くなっており、そのうち肝臓がんにより死亡した1名(曲忠成)については、がんの進行の速さなどから、毒ガス被害の影響が指摘されている。生き残った被害者たちも、そのほとんどが進行性の被害に苦しみ、稼働能力を失っている。生活と医療に対する保障の必要性は今なお高まる一方である。

  政府は、これらの判決の認定を真摯に受け止め、被害実態を直視し、全ての遺棄化学兵器被害者に対する医療支援・生活支援の政策を実現すべきである。われわれは、今後とも法廷内外において、この政策形成を実現するために全力を尽くすことを表明するものである。

 

2012921

中国チチハル遺棄毒ガス訴訟弁護団

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本日以降の予定

現在決まっている今後の行動予定をお知らせします。

 真の被害回復政策の実現のため、敗訴判決にめげることなく、今後とも皆様のご支援、ご参加をどうかよろしくお願い申し上げます。

【宣伝活動】
このたび,遺棄毒ガス被害事件の,被害実態と解決を訴える街頭宣伝も行うことといたしました。
皆様ぜひお越し下さい。
日時:9月22日(土:秋分の日)13:00  場所:新宿アルタ前付近
日時:9月24日(月)8:30  場所:官邸前(東京メトロ国会議事堂前駅3番出口付近)
日時:9月25日(火)8:30  場所:官邸前(東京メトロ国会議事堂前駅3番出口付近)
日時:9月26日(水)8:30  場所:官邸前(東京メトロ国会議事堂前駅3番出口付近) 
25日、26日も官邸前で宣伝を行うことが決定しました!

【院内集会】

また,24日には院内集会を行います。事前申込はなくてもかまいませんので,ぜひお越し下さい。

日時: 924日(月)午後3時~4
場所: 衆議院第一議員会館 1階 多目的ホール(200名収容)

なお、敦化遺棄毒ガス被害事件の控訴審は、

12月11日(火)午前10時30分から 東京高等裁判所8階825号法廷

に決まりました。こちらも詳細が決まり次第お知らせしますが、皆様お越しください。

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チチハル控訴審判決行動終了

ご報告が遅くなりましたが、このたびのチチハル控訴審判決に伴う行動は、9月21日に報告集会、9月24日に院内集会を行い、その後各方面に皆様の声をお届けして、9月27日に丁樹文さんが帰国されたことによりいったん終了となりました。

報告集会の様子は

チチハル8.4被害者を支援する会のブログの記事

にございますのでご覧ください。

 

ポータル院内集会.jpg

院内集会は多くの議員及び議員秘書にご参加いただき、議員の先生方にも秘書の皆様方にも各自で自らの思いを語っており、政治解決に向けた希望を垣間見ることの出来る集会となりました。 被害者は丁樹文さんが出席しましたが、元気づけられた様子でした。

 

 

 

 

今後、チチハル事件については上告し、最高裁での闘いを行うこととなります。そのときはまたお知らせいたしますので、どうかご支援をお願い申し上げます。

今後の活動としましては、

12月11日(火)午前10時30分から、東京高等裁判所8階825法廷にて、敦化事件の控訴審の第1回弁論が開かれます。通常控訴審は、弁論の回数があまり多くありませんので、是非この第1回弁論に皆様のお力を結集していただければ幸いです。

今後とも皆様のご支援をお願い申し上げます。

 

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敦化遺棄毒ガス被害事件控訴審第3回期日のご案内

 7月16日(火)15:30~

 

東京高等裁判所825法廷


(地下鉄丸ノ内線・霞ヶ関A1出口すぐ)

*多くの方の傍聴をお願いします。

 

裁判終了後,

18:30~

文京区民センター2A会議室

http://www.city.bunkyo.lg.jp/gmap/detail.php?id=1754 

で報告集会を行います。

 

 日本軍が中国に残してきた「毒ガス弾」の被害が続き,敦化で被害にあった少年が日本政府を訴えている裁判の控訴審も大詰めを迎えます。

 今回は,被害に遭った少年が来日し,意見陳述を行います。そして,報告集会では,被害に遭った少年たちを診た医師の報告もございます。

 明日となりましたが,多くの方の傍聴と,報告集会へのご参加をお願いします。

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敦化事件控訴審,不当判決!

11月26日の敦化事件控訴審判決は,全くの不当判決でした。

 

弁護団声明を掲載しますので、皆様ご覧ください。

二人は最高裁に上告しました。

高裁では敗訴判決となりましたが,本来は,遺棄毒ガス被害者が求めているのは医療支援,生活支援です。これからも,粘り強く,医療支援,生活支援を政治の場で求めていきます。支援の実現のためには皆様のご支援が不可欠です。皆様引き続きご支援お願い申し上げます。

声  明

 

本日,東京高等裁判所第10民事部(園尾隆司裁判長)は,控訴人らが、日本政府に対し,旧日本軍が中国に遺棄してきた毒ガス・砲弾の被害による損害賠償を請求していた事件につき、控訴人らによる控訴を棄却する不当な判決を下した。

 

本件は、2004年7月23日、中国吉林省敦化蓮花泡の小川に遺棄されていた毒ガス砲弾(イペリットとルイサイトの混合剤)によって引き起こされた事故の責任を問うものである。

 

今回の高裁判決は、他の遺棄化学兵器被害事件と同様、日本国政府の先行行為に基づく作為義務違反の有無につき、①違法な先行行為の存在、②危険性の存在、③予見可能性の存在、④結果回避可能性の有無の4要件に基づき、かつ③「予見可能性の有無を判断するにあたっては行為時に現に存在した知見のみを前提にするのではなく、研究調査を尽くしていたとすれば入手し得た情報をも加えて判断するのが相当である」との規範を新たに付け加えた。

そして、本件について、旧日本軍が中国国内に化学兵器を埋設し遺棄・隠匿したとして①違法な先行行為を認め、②についても本件毒ガス兵器は人の生活圏内に存在しこれに接触することにより直ちに人の生命・身体に危険をもたらしたものであるから、人の生命・身体という重要は法益に対する危険性があり、かつこれが切迫した状態にあったと認めた。

③の予見可能性については、1991年6月に日本国政府が毒ガス被害者2名に会い、両名が1951年「敦化地区の馬鹿溝を指すと解される地点で毒ガス弾による被害を受けた」事実、1996年に出版された書籍に「馬鹿溝付近に多数の毒ガス弾が散らばっているなどと記載されている」事実、1992年には中国政府が提供した資料において遺棄毒ガス兵器の埋設可能性のある地区として馬鹿溝が挙げられている事実、さらに1993年9月の日中専門家会合において中国側より右資料にある地域はいずれも差し迫った危険が存在していると述べた事実、をいずれも認定した。にもかかわらず、被控訴人において、結果回避措置につながる程度の具体性を持って、馬鹿溝周辺に遺棄化学兵器が存在することを予見することができなかった、とした。

また、高裁判決は、「予見可能性の有無を判断するにあたっては行為時に現に存在した知見のみを前提にするのではなく、研究調査を尽くしていたとすれば入手し得た情報をも加えて判断するのが相当である」との規範を定立しておきながら、上記認定事実を契機とした日本政府の調査研究に何ら言及することなく予見可能性を否定した者であり、結論ありきの判断と言わざるを得ない。

 

我々は、この不当な判決に対し、怒りをもって直ちに上告する。同時にこの判決は日本政府が遺棄した事実、先行行為の違法性、人の生命身体という重要な法益侵害の事実を認定したことに鑑みれば日本国政府の政治責任は免れない。我々は日本国政府が政治責任を果たし、被害者の救済と二度とこのような被害が起きない防止策を強く求めるものである。かかる意味での解決を図るまで最後まで戦い抜く決意である。

 

    2013年11月26日

    

    敦化遺棄毒ガス被害訴訟弁護団

 

 

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